CPAPは保険適用される?|条件・費用と2026年6月診療報酬改定のポイントを解説
いびきや日中の強い眠気が続き、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を検討している方にとって、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が保険適用になるかどうかは大きな関心事です。
CPAP治療は健康保険が適用される治療ですが、適用には簡易検査で計測する呼吸障害指数(RDI)または精密検査で計測する無呼吸低呼吸指数(AHI)の基準を満たす必要があります。2026年6月の診療報酬改定により、この基準が見直され、これまで精密検査が必要だった方でも、簡易検査だけで治療を開始できるケースが増えました。
一方で、治療を継続するためには一定の使用時間を満たす必要があり、2026年6月以降はこの点もこれまで以上に重視されるようになっています。この記事では、CPAP治療の保険適用条件、費用の目安、2026年6月の診療報酬改定で何が変わったのかを分かりやすく解説します。
目次
CPAP治療が保険適用になる条件
CPAP治療を保険適用で開始するには、検査によって睡眠時無呼吸症候群と診断され、RDIまたはAHIが一定の基準を満たしている必要があります。2026年6月の診療報酬改定により、この基準が見直されました。簡易検査でRDIが30以上、または精密検査(PSG検査)でAHIが15以上であれば、CPAP導入の対象となります。
これまで簡易検査でRDIが40未満の方は、保険適用でCPAPを開始するために入院による精密検査が必要でした。改定後は、簡易検査の基準を満たせば外来のみで治療を開始できるようになり、CPAP治療のハードルが下がっています。
| 検査の種類 | 指標 | 保険適用の基準値 | |
|---|---|---|---|
| 改定前 | 2026年6月以降 | ||
| 簡易検査 | RDI | 40以上 | 30以上 |
| 精密検査(PSG) | AHI | 20以上 | 15以上 |
※RDI:Respiratory Disturbance Index(呼吸障害指数)/AHI:Apnea Hypopnea Index(無呼吸低呼吸指数)
検査の流れ:簡易検査と精密検査の違い
CPAP導入の判断には、まず自宅でできる簡易検査を行い、その結果次第で必要に応じて精密検査(PSG検査)に進みます。
簡易検査は自宅で指先や鼻に小型のセンサーを装着して一晩測定する方法で、入院の必要がなく自宅でできる身体的な負担が少ない検査です。

精密検査は脳波や呼吸の状態をより詳細に記録する検査で、従来は1泊入院が必要なケースが多くありましたが、当院では精密検査も自宅での検査にも対応しています。

2026年6月の診療報酬改定で何が変わった?
診療報酬とは、病院やクリニックが保険診療で提供した医療行為に対して、国が定める公定価格のことです。この価格は原則2年に1度、厚生労働省によって見直されます。これを「診療報酬改定」と呼びます。
2026年6月の診療報酬改定では、CPAP治療の「導入のしやすさ」と「治療継続の管理」の両方に見直しが入りました。新規に治療を検討している方にとっては、導入のハードルが下がる方向の改定です。
導入基準の緩和:精密検査が不要なケースが増加
前述のとおり、簡易検査でRDIが30以上であれば、精密検査なしでCPAP治療を開始できるようになりました。これまで「精密検査が大変」「面倒くさい」といった理由で受診をためらっていた方や、RDIの基準を満たさずにCPAP治療を保険適用で開始できなかった方にとって、治療を始めやすい環境が整っています。
通院頻度はどう変わる?
通院頻度は患者さまの使用状況や症状によって異なりますが、基本的に毎月の受診が必要となります。当院では使用時間が安定している方は2ヶ月ごとの受診が可能です。継続管理にはCPAP機器のデータ確認が重要となるため、通院の際にはレンタル機器の使用データをもとに、丁寧な指導・調整を行っています。
当院ではオンライン診療にも対応しているため、定期通院もオンラインで受診することが可能です。そのため、自宅やお仕事の合間などご自身のライフスタイルに合わせて通院できます。
治療継続の条件:1日平均使用時間1時間のルール
CPAP治療を開始したものの、装置を付けたままの睡眠になれず、結局CPAPを利用しない方も少なくはありませんでした。しかし、2026年6月の診療報酬改定では、診療報酬上、1日平均使用時間が1時間未満(月間総使用時間30時間未満)の状態が続いた場合、保険診療の継続が難しくなる旨の内容が追加となりました。そのため、保険適用で治療を継続するには、しっかりとCPAPを利用しなければならなくなりました。
ですが、すぐに保険適用が解除されるわけではございません。当院では、1日平均使用時間が1時間未満の方に対して、直ちに治療を中止するのではなく、2026年6月から6ヶ月間の「経過観察期間」を設けています。6ヶ月間のうち、使用時間が1時間以上の月が一度でもあれば治療を継続でき、1時間以上に回復した月は通常どおり2ヶ月ごとの受診に戻ります。一方、6ヶ月間を通じて一度も基準を満たせない状態が続いた場合には、期間終了時点で保険診療によるCPAP治療を中止とさせていただきます。
使用時間が短い場合は翌月の受診をお願いしており、次回予約は診察時に医師がご案内します。マスクの不具合や体調など使用が難しい理由がある場合は、診察時またはお電話でお気軽にご相談ください。
CPAP治療は毎晩継続して使用することで効果を発揮する治療です。一般的には1日4時間以上の使用が推奨されており、使用時間が短いと十分な治療効果が得られにくくなります。当院では最新のCPAP機器による使用状況のモニタリングを行い、使用時間や着用状況を確認しながら、必要に応じてマスクの調整や設定変更のご提案を行っています。お気軽に医師へご相談ください。
CPAP治療の費用はどれくらい?

CPAP治療は治療の基準を満たせば健康保険が適用されるため、自己負担を抑えながら治療を続けられます。以下は当院の3割負担での費用目安です。
検査費用
| 検査内容 | 診察費 | 検査費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 内視鏡検査 | — | 1,800円 | 1,800円 |
| 簡易検査 | 910円 | 2,700円 | 3,610円 |
| 精密検査 | 910円 | 6,540円 | 7,450円 |
※内視鏡検査は初診時に行う場合があります
※精密検査は初診時に行う場合があります
CPAP治療費
当院では対面診療とオンライン診療のどちらにも対応しており、お仕事や生活スタイルに合わせて通院方法を選べます。治療が安定している方は2ヶ月毎の通院となるため、通院頻度を抑えながら治療を継続することも可能です。
◆対面診療の場合
| 処方パターン | 診察費 | レンタル費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1ヵ月毎(月1回通院) | 390円 | 3,950円 | 4,340円 |
| 2ヵ月毎(2ヶ月に1回通院) | 390円 | 7,580円 | 7,970円 |
◆オンライン診療の場合
| 処方パターン | 診察費 | レンタル費 | システム利用料 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1ヵ月毎(オンライン) | 240円 | 3,850円 | 500円 | 4,590円 |
| 2ヵ月毎(オンライン) | 240円 | 7,030円 | 500円 | 7,770円 |
※掲載している金額はあくまで目安であり、保険の負担割合や受診内容によって実際の費用は異なる場合があります
まとめ
CPAP治療は健康保険が適用される治療であり、2026年6月の診療報酬改定により、簡易検査(RDI)・精密検査(AHI)の基準が見直されたことで、これまで入院検査が必要だった方でも外来のみで治療を始めやすくなりました。一方で、治療を継続するためには一定の使用状況が求められます。直近3ヶ月すべてで1日平均使用時間が1時間未満となる状態が続くと、保険診療の継続が難しくなるため、日々の使用を習慣化することが大切です。
いびきや日中の眠気でお悩みの方は、まずは簡易検査から始めて、ご自身の状態を確認してみることをおすすめします。当院では対面・オンライン診療の両方に対応しており、検査から治療開始後の継続管理まで一貫してサポートしています。
参考文献
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(医科診療報酬点数表)
- 厚生労働省「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料に関する留意事項通知」(保医発0305第6号)
※在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料に関する留意事項(保医発0305第6号)は上記ページ内の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」に収録されています。詳細は厚生労働省の告示・通知をご参照ください。
コラム監修者
略歴
- 横浜市立大学附属病院
- 横浜市立大学附属 市民総合医療センター
- 東京慈恵会医科大学附属病院 耳鼻咽喉科 助教
- 東京都立豊島病院
- 聖路加国際病院
- 太田睡眠科学センター 非常勤
- 東京慈恵会医科大学附属病院 耳鼻咽喉科 博士号取得
- Dクリニック東京ウェルネス 睡眠センター長
- ウェルスリープクリニック東京 院長
認定資格
- 日本睡眠学会 総合専門医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医