睡眠時無呼吸症候群の合併症とリスク|放置するとどうなる?

「いびきがひどい」「朝起きても疲れが取れない」——そう感じながらも、忙しさや「たいしたことではないだろう」という思いから受診を先送りにしていませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。単なる「眠りの浅さ」ではなく、放置することで全身にさまざまな合併症を引き起こすリスクがあることが、多くの研究で示されています。

この記事では、SASが引き起こしうる合併症とそのリスクについて、わかりやすく解説します。

睡眠時無呼吸症候群とは?まず基本を押さえよう

asian man sleep with CPAP mask at night on the bed in dark bedroom

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間に5回以上繰り返される状態を指します。日本では推定900万人以上が罹患しているとされており、多くの方が未診断のまま日常生活を送っているといわれています。

主な症状は次のとおりです。

  • 大きないびき・呼吸の止まり(家族から指摘されることが多い)
  • 日中の強い眠気・集中力の低下
  • 起床時の頭痛・口の乾燥
  • 夜間の頻尿・中途覚醒

これらの症状に心当たりがある場合、SASの可能性を念頭に置くことが重要です。

SASを放置すると怖い理由|全身に及ぶ合併症リスク

Sad lonely tired man home alone.

SASの最大の問題は「眠れない」だけではありません。睡眠中の低酸素状態と睡眠の分断が、心臓・血管・代謝系に継続的な負荷をかけ続けることにあります。

高血圧

SASの方の約50%は高血圧を合併しているといわれています。無呼吸が起きるたびに交感神経が活性化され、血圧が急上昇します。これが毎晩繰り返されることで、慢性的な高血圧につながるとされています。「夜間高血圧」や「早朝高血圧」として現れることも多く、通常の降圧治療に反応しにくいケースではSASの関与が疑われます。

心臓病・不整脈

睡眠中の低酸素状態と血圧変動は、心臓にも大きな負担をかけます。SASは心房細動などの不整脈、狭心症、心筋梗塞といった虚血性心疾患との関連が指摘されています。海外の研究では、重症SASを未治療のまま放置した群では心血管イベントのリスクが高まるという報告もあります。

脳卒中

SASは脳梗塞・脳出血のリスク因子のひとつとされています。血圧変動・血液の粘稠度上昇・動脈硬化の進行などが複合的に作用することで、脳血管障害を起こしやすい状態を招くと考えられています。

糖尿病・メタボリックシンドローム

睡眠の質の低下はインスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを悪化させる可能性があります。SASと2型糖尿病・メタボリックシンドロームには双方向の関係があるとされており、どちらか一方を放置するともう一方も悪化しやすい傾向があります。

日中の眠気による事故リスク

SASによる日中の強い眠気は、交通事故や労働災害のリスクを高めます。健常者と比較してSAS患者の交通事故発生率は数倍高いというデータもあり、本人だけでなく社会全体の安全に関わる問題です。

「自分は大丈夫」と思っていませんか?SASは自覚しにくい病気

SASの厄介な点は、睡眠中の出来事であるため本人が気づきにくいことです。

  • 一人暮らしでいびきを指摘されたことがない
  • 「眠りが浅い体質」だと思い込んでいる
  • 疲れや眠気を「仕事のせい」と片付けている

こうした理由から、症状があっても受診に至らないケースが非常に多く見られます。しかし、合併症のリスクは自覚の有無に関わらず進行する可能性があります。

気になる症状があれば、まず専門の医療機関へ

SASの診断には、睡眠の状態を詳しく調べる検査が必要です。自己判断では正確な評価が難しく、放置すれば前述のような全身へのリスクが蓄積されるおそれがあります。

「最近いびきがひどくなった」「日中の眠気がつらい」「健診で高血圧を指摘された」といった方は、一度専門外来への相談をお勧めします。

ウェルスリープクリニックでは、睡眠外来として睡眠時無呼吸症候群の診断・治療に対応しております。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

まとめ|SASの主な合併症と全身へのリスク

合併症 主なリスク
高血圧 慢性的な血圧上昇・降圧薬への反応低下
心疾患・不整脈 心房細動・狭心症・心筋梗塞リスクの上昇
脳卒中 脳梗塞・脳出血リスクの増加
糖尿病 インスリン抵抗性悪化・血糖コントロール不良
事故リスク 日中の眠気による交通・労働災害の増加

SASは「眠れないだけ」の問題ではありません。全身の健康に関わる疾患として、早期の診断・対応が重要です。