【医師監修】睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧の関係|放置するリスクと対策

健康診断で高血圧と指摘されたことはありませんか。あるいは、つい最近、高血圧と診断されたばかりという方もいらっしゃるかもしれません。血圧が高くなる原因というと、塩分の摂り過ぎや運動不足・肥満、加齢などをイメージされる方が多いと思いますが、実はその背景に、睡眠中の呼吸に原因が隠れているケースがあります。本記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧の関係性、影響、そして無呼吸・高血圧対策について解説します。

なぜ睡眠時無呼吸症候群(SAS)が高血圧を引き起こすのか

睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、脳から呼吸の指令が一時的に低下・消失する中枢性無呼吸症候群(CSA)と気道が閉塞して起こる閉塞性無呼吸症候群(OSA)があります。高血圧と関連が最も強いのは閉塞性無呼吸症候群(OSA)のため、本記事では、OSAと高血圧について解説いたします。

OSAでは呼吸が止まるたびに血中の酸素濃度が下がることで、脳が危険を感知し、交感神経が活性化されます。その結果、血管が収縮し血圧が上昇します。また、酸素不足で目が覚め、呼吸が再開、代償的に血圧が低下し、血圧は一晩で何度も急降下することになります。

この状態が長く続くと、血管の負担が増加し、血管は硬くなり、慢性的な高血圧となります。
このメカニズムから、OSAは加齢や体格(BMI)とは独立した高血圧のリスク要因となり、一般的な高血圧とは異なるアプローチが必要になる場合があります。

閉塞性無呼吸症候群(OSA)と高血圧の合併リスク

OSA(閉塞性無呼吸症候群)と高血圧の関連については、国内外で複数の研究が報告されています。海外の疫学調査では、OSA患者が高血圧を発症するリスクは、OSAのない人と比べて1.4〜2.9倍にのぼるとされています。また国内研究では、1時間当たりの無呼吸低呼吸指数(AHI)が10回/h増加する毎に高血圧リスクが10%増加するという報告もあります。

さらに、高血圧患者さんの約30-50%に中等度以上(AHI≧15回/h)のOSAが合併すると報告されています。複数の降圧薬でもコントロール困難な治療抵抗性高血圧では更に高率にOSAが合併することが報告されています。

OSAと高血圧をあわせて診ることの重要性

OSAは独立した高血圧リスクであり、生活習慣の改善やお薬だけでは十分な効果が得られにくいと述べてきました。早期にOSA検査を受けることで、必要に応じてCPAP治療(持続陽圧呼吸療法)など適切な介入を行うことで、血圧等の改善も期待できます。

また、高血圧治療ではCPAP治療に加え、体重管理、節酒、禁煙、減塩などに取り組むことも大切です。

このように、OSAと高血圧は相互に影響し合うため、それぞれを別の科で個別に診るよりも、両疾患を一元的に評価できる体制での診療が適していると考えられます。

血圧とSAS(OSA)、どちらも見過ごさないために

健康診断で血圧が高めと指摘された場合、その背景に睡眠中の無呼吸が隠れていることがあります。SAS(OSA)があると、無呼吸のたびに交感神経が刺激されて血圧が上がりやすくなるだけでなく、日中の眠気や倦怠感といった形で睡眠の質にも影響が及びます。血圧だけ、あるいはSASだけを個別に見ていては、根本的な改善につながりにくいケースも少なくありません。

ウェルスリープクリニックでは、SAS(OSA)と高血圧をはじめとする生活習慣病を一人の医師が一元的に集約して診察する「無呼吸・生活習慣病外来」を開設しています。健康診断で血圧が高めと指摘された方、高血圧と診断されたばかりの方、いびきや日中の眠気が気になる方は、どちらかの科を別々に受診するのではなく、まとめてご相談いただけます。

なお、同外来では、高血圧に加えて脂質異常症や高尿酸血症についてもあわせて診察が可能です。気になる症状がある方は、まずは検査から始めてみませんか。

参考文献

コラム監修者

略歴

  • 長崎大学病院 第一内科(内分泌代謝班)
  • 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 博士号取得
  • 長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 地域包括ケア教育
  • センター 助教
  • 長崎大学保健センター 助教
    (長崎大学病院専属産業医)
  • Dクリニック東京ウェルネス
    (長崎大学 保健センター客員研究員)

認定資格

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本内分泌代謝内科 専門医
  • 日本糖尿病学会 専門医
  • 日本甲状腺学会 専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床研修指導医