【医師監修】CPAPとは?睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法をわかりやすく解説
いびきを指摘された、日中の眠気が強い、健康診断で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあると言われた——そうした際に必ずと言っていいほど出てくるのが「CPAP」という治療法です。聞き慣れない言葉に不安を感じる方も多いと思いますが、CPAPはSAS治療の中でもっとも標準的に行われている治療法です。この記事では、CPAPとは何か、その仕組みや効果、対象となる基準、治療の流れについてわかりやすく解説します。
CPAPとは
CPAPは「Continuous Positive Airway Pressure」の略で、日本語では経鼻的持続陽圧呼吸療法と呼ばれます。
CPAP(シーパップ)療法は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法の一つです。就寝中に専用のマスクを装着し、機器から一定の圧力をかけた空気を鼻から送り込むことで、睡眠中に狭くなりやすい気道を広げ、無呼吸やいびきを防ぎます。
CPAP療法は、特に中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群に対して効果が期待できる治療法です。
治療に使用する機器は、空気を送り出す本体、空気を運ぶチューブ、鼻または鼻と口を覆うマスクで構成されており、睡眠中に装着して使用します。
また、検査結果などが一定の基準を満たす場合は、健康保険を適用して治療を受けることができます。
保険診療で治療を継続するには、定期的な受診が必要です。
日本呼吸器学会の診療ガイドラインでも、中等症〜重症のSASに対する第一選択の治療として位置づけられています。
CPAPの仕組み
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のある方は、睡眠中に喉まわりの筋肉が緩み、舌の付け根が沈み込むことで気道が狭くなったり塞がったりします。CPAPは、本体・チューブ・マスクで構成される装置から常に一定の空気圧を送り込み、いわば「空気の力で気道を内側から支える」ことで、この閉塞を防ぎます。無呼吸や低呼吸そのものが起こりにくくなるため、いびきの軽減や睡眠の質の改善が期待できます。

CPAP治療で期待できること
CPAPによって無呼吸・低呼吸が減ることで、以下のような改善が期待できるとされています。
- ・いびきの軽減
- ・日中の強い眠気や倦怠感の改善
- ・起床時の頭痛や熟睡感のなさの改善
- ・高血圧など、SASに伴う心血管系への負担軽減
なお、効果の現れ方には個人差があり、マスクの装着に最初は違和感を覚える方もいますが、多くの方は使用を続けるうちに慣れていきます。違和感が続く場合は、マスクの種類やフィッティングの調整で改善することが多いため、通院時に相談いただく形になります。
CPAP(シーパップ)治療の効果
CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中のいびきや無呼吸が減少するため、睡眠の質が高まり、スッキリと目覚めることができます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の心臓・血管系疾患による死亡率は、睡眠時無呼吸症候群でない方と比べて2.2倍高いとされていますが、CPAP療法により、一般の人と同等になると言われています。
睡眠時無呼吸症候群に対する効果が証明されているだけでなく、治療を続けることで、眠気がなくなる、夜間のトイレの回数が減るといった症状の改善や、降圧(血圧を下げる)効果も期待できます。
CPAP(シーパップ)治療の注意点

人によって、CPAP機器に慣れるまでに、2~3か月程度かかる場合があります。短い時間でも装着することで効果はあり、CPAP機器に早く慣れることができます。
1.空気の圧力による不快感
圧力のかかった空気が耳に抜けて不快、息を吐く時にも空気が送られてくるため違和感があり寝つきが悪くなる、無意識に空気を飲み込むことでお腹が張る、などの症状を感じる方は、CPAP機器の圧力を調整することで症状が改善する可能性がありますので医師に相談してみましょう。
2.肌がかぶれる
マスクがあたる鼻の周囲が赤くかぶれてしまう方は、強く締め過ぎている可能性があります。マスクフィッティングを見直しても改善しない場合は、マスクの形自体が合っていない可能性もあるので、別タイプのマスクの検討も含めて、医師に相談しましょう。
3.鼻や喉、目や口が乾く
鼻や喉が乾燥する場合は、加湿器などで湿度調整をしましょう。また、口を閉じて眠るためのバンドもあるので、医師に相談してください。
目が乾燥する場合は、マスクからの空気漏れが原因の可能性もあるので、マスクが正しく装着されているかを確認しましょう。
CPAP(シーパップ)のマスクの種類

装着するマスクには、複数のタイプがあります。
一般的に、「鼻マスクタイプ」が主流となっていますが、就寝中に口を開いてしまう方は、口から空気漏れ(マスクリーク)しないタイプのマスクの方が有効な場合もあるので、医師に相談してみましょう。
1.鼻マスクタイプ
シリコン製のクッションで鼻を覆うタイプで、最も一般的なマスクです。
ヘッドギアを頭部に装着することができるため、睡眠中にズレにくく、安定性に優れます。多少であれば空気漏れしても問題ないので、ヘッドギアの締め過ぎには気をつけましょう。きつく締め過ぎると、鼻根部にマスクのあとが残ったり、鼻の周囲に皮膚炎を起こす可能性があります。


2.ピロータイプ
シリコン製の鼻ピローを、鼻腔に直接差し込むタイプのマスクです。
肌との接着面が少ないため、マスクのあとが残ることがなく、視界も開放的です。以前は、寝返りなどによって外れやすいという欠点がありましたが、最近はヘッドギア部分が改良されているため、安定性に優れた装置が増えています。


3.フルフェイスタイプ
シリコン製のクッションで、鼻と口を一緒に覆うタイプのマスクです。
就寝中に口を開いてしまう方や、強い鼻づまりなどによって鼻呼吸が困難な方が選択します。口からの空気漏れの心配はありませんが、閉塞感があるため、眠りにくいと感じる方もいます。鼻マスクに比べて空気漏れのリスクが高いこと、かかる圧力が高くなる傾向があるため注意が必要です。


レンタルと購入について

1.レンタルする場合
検査を受け一定基準を満たした場合、健康保険でCPAP機器をレンタルすることが可能です。健康保険3割負担の方がCPAP療法をする場合、CPAP装置のレンタル料と診察費用を合わせて1か月で約4,000円です。
CPAP治療は慣れるまでに時間がかかるので、まずはレンタルして慣れるまで続けてみましょう。
2.購入する場合
健康保険でCPAP機器のレンタルができない場合、CPAP機器の購入が可能です。
CPAP機器を購入する場合は健康保険適用外になるため初期費用は高額です。機器自体が30万円前後かかります。ただ、長期的に使用される場合は、医療費の削減につながる可能性があります。
購入を検討される場合、まずはCPAPに慣れ、メリット・デメリットを把握しましょう。
いびきや無呼吸は放置しない
いびきや無呼吸は、つい「大した事ない」と思って放置してしまいがちですが、睡眠中に起こる全身の低酸素状態が及ぼす影響は大きく、放置することによりリスクは高まります。
CPAP療法は効果の高さはもちろん、検査結果によって健康保険適用になるため費用負担が少なく、自宅で治療することができるので、手軽に始めることができます。
良質な睡眠を得ることで、目覚めの良さや、日中のパフォーマンスを高めることにつながります。いびきや無呼吸を指摘されたことのある方や、朝起きた時に熟睡感がなく疲れている方は、一度医療機関を受診してみましょう。
当院では、初診から検査結果の説明までオンライン診療で受診することが可能です。病院に行くことに抵抗がある方は、オンライン診療でご相談ください。
CPAP治療の対象となる基準

CPAP治療は、検査によって一定の基準を満たす中等症以上のSASと診断された場合に、保険診療の対象となります。ウェルスリープクリニックでは、自宅でできる簡易検査(指標:RDI)と、より詳細な精密検査(PSG検査、指標:AHI)のいずれも自宅で受けていただけます。
保険適用となる基準値は、2026年6月の診療報酬改定により変更されています。具体的な数値は検査方法によって異なりますので、詳しくは診察時にご確認ください。基準に満たない軽症の場合でも、症状や生活への影響によっては治療の選択肢についてご相談いただけます。
※2026年6月の診療報酬改定についてはこちら
治療までの流れ
- 問診・症状確認:いびきや日中の眠気など、気になる症状について医師が確認します
- 簡易検査(自宅):指先や鼻にセンサーを装着し、一晩の呼吸状態を記録します
- 精密検査(PSG、自宅で実施可能):簡易検査の結果や症状に応じて、より詳細な検査を行うことがあります
- 診断・治療方針の相談:検査結果をもとに、CPAP治療が適応となるかを医師と相談します
- CPAP導入:装置がレンタルされ、ご自宅で毎日使用しながら定期的に通院いただきます
※詳しくはこちら
まとめ
CPAPは、SAS治療において医学的にもっとも標準的に用いられている治療法であり、正しく使用を続けることで睡眠の質の改善が期待できます。「マスクをつけて眠るのは大変そう」というイメージから治療をためらう方もいますが、まずは検査を受けてご自身の状態を知ることが第一歩です。 いびきや日中の眠気が気になる方は、ウェルスリープクリニックまでご相談ください。初診は対面での受診となりますが、再診はオンラインでも受けていただけますので、通院の負担を抑えながら治療を続けていただけます。
参考文献
- 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」南江堂, 2020年
- 一般社団法人日本睡眠学会 SASnet「CPAP治療」
- フクダ電子「CPAPとは」